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金属加工(製造業)での解雇トラブル

【ご相談の経緯】入社後、しばらくして様子がおかしい⁈

【ご相談の経緯】

面接時には、真面目そうで過去の履歴にも問題ないように思われたので、採用、そして入社。(Aさん・40代前半)

入社から3,4日経過した辺りから遅刻が始まり、遅刻について注意すると反省はしているものの様子が少しおかしい。作業報告書などに記入するとき、手が震えて文字が書けない様子を周りの社員が見ており、社長に報告。

作業についてもなかなか覚えるのが難しいようで、遅刻等も治らないので、14日経過する前に解雇予告しようと検討していたが、言い出せず、そのタイミングで連休に入ってしまい、14日を経過。

解雇を予告しようとしたら⁈

連休明けて解雇を言い出せなかった(予告できなかった)と、思っていると、職長から社長へ連絡があり、「Aさんが、具合が悪いようなので病院へ連れて行ったら熱中症ということでした」との報告。

どうも前から飲酒によって、遅刻や手の震え等があり、その日も前日の飲酒によって気分が悪くなったのではないか。ということで、周りの社員への影響も考え、帰宅後、電話で「辞めてほしい」旨を伝えた。

*試用期間中の解雇については、本採用後より、比較的、有効とみなされる傾向にあります。ただし、解雇権の濫用は論外として、14日を経過すると、通常の解雇手続きと同様に解雇予告が必要となります。

30日前の予告もしくは平均賃金の30日分の解雇予告手当(即時解雇の場合)の支払いが必要となります。

夜中に鳴り続ける電話と解雇できない⁈

その夜中から社長の携帯電話で10分おきくらいに電話が入り、電話口で罵倒と誹謗中傷。LINEにも入ってくるので、携帯の電源を切り、翌日、どうしたものかと、弊所にご相談いただきました。

会社としては、もともと試用期間14日が経過する前に解雇しようとしていたということもあり、また夜中、(おそらく酔っていると思われる)電話がかかり、大声で罵倒される、また取引先(顧客)の担当者にまで電話をかけるようなことで、やはり解雇したいということ。

ただし、この日、本人は、熱中症により大事をとって療養中。

労働基準法第19条で「業務上の負傷・疾病により療養のために休業する期間およびその後30日間並びに産前産後休業中の期間およびその後30日間は、解雇してはならない」としてされています。

そのため、会社としては解雇予告手当を支払ってでも即時、解雇したいのにできない状況になっていました。

【解決方法】結局は、話し合いによる解決に!

解雇は労働基準法上できないため、Aさんと話し、条件を双方合意の上、話し合いによる退職の合意となりました。

弊社で会社と、Aさんそれぞれの間に入り、お互いの言い分を伝達。それを元に合意書を作成しました。

合意書を取り交わし、Aさんからも最終的には、会社に対し、ご迷惑をお掛けしたということで連絡があり、また弊社にも連絡がありました。

その後、Aさんはほどなく次の職場に再就職が決まりました。

執筆者情報
社会保険労務士法人スペース 代表社員 山本圭一
保有資格代表 社会保険労務士
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